フランスの首相がバルセロナの市長になれる!?(11/10 更新)

フランスでは人気がないから、スペインに行っちゃおう!

つい最近までフランスで首相を務めていたフランス社会党のマニュエル・ヴァルスが、なんと2019年に予定されているバルセロナ市長選挙に出馬することになりました!

 

スペイン生まれのヴァルス元首相は、20歳でフランス国籍を取得し、フランスで国会議員、市長、内務大臣などを歴任し、そして2014年には首相の座にまで上り詰めた人物です。

しかし当初の勢いはどこへやら、オランド元大統領とともに国民の支持を少しずつ失っていき、近年のフランスではすっかり嫌われ者の存在になってしまいました。

そこで彼が選んだ新天地は・・・・・・なんと隣国のバルセロナ!

バルセロナと言えば、まさにカタロニア独立運動の中心都市です。昨年のスペインからの独立宣言後、経済状況が悪化しているカタロニアにおいて、この市長選は独立の是非を再び問うという意味も大きく、世界中から注目が集まっています。すっかりフランスでは人気を失ったヴァルス元首相ですが、バルセロナ市民の目にはどのように映るのでしょうか。2019年の市長選挙が楽しみですね。

 

しかし、ある国で政治家として活躍していた人物が、他の国でも政治家としてキャリアを築こうとするなんて、驚きですね!どうしてこんなことが可能なのでしょうか?

実はEU(ヨーロッパ連合)の規則で、EU市民は自国以外のEU加盟国の選挙にも出馬する権利(被選挙権)が認められているのです。国家間の強い結びつきを目指しているEUならではですね(イギリスの離脱をはじめ、その試みは必ずしも成功しているとは言い難いですが)。

 

 

二重国籍がスキャンダルになる日本

このように、政治家が国境を超えて、複数の国でキャリアを築くということが、特にEU内では少しずつ増えてきています。

さて、日本に目を移すとどうでしょうか。

 

日本で蓮舫議員の身に起きたことを、皆さんは覚えているでしょうか。実際には法的に何ら問題はなかったにもかかわらず、「二重国籍問題」として保守派の政治家やマスコミは日夜騒ぎ立て、蓮舫議員は凄まじい個人攻撃と差別発言を浴びることになりました。

何も、上に述べたようなEUの状況こそが正解だ、と言いたいわけではありません。というか私自身、昨日までアメリカ大統領だった人が、突然、東京都知事になったりしたら、ドン引きすると思います。

しかしながら、二重国籍が政界でスキャンダルにまでなり、まるで犯罪者のような扱いすらされてしまう日本社会は、いくら何でも極端すぎるのではないでしょうか。上に述べたようなEUの状況と日本の状況の間の、あまりにも大きな隔たりに、くらくらする思いなのは私だけでしょうか。

 

※注:ヴァルス元首相はフランスのみの単一国籍なようです。ご指摘くださった方ありがとうございます。

二重国籍は認められて当たり前!

さて、複数の国で政治家になれることの是非はともかくとして、一般市民のレベルの話をすれば、明らかに「国籍唯一の原則」は時代にそぐわないものです。これを改革しようという大きな波は、欧米だけに留まりません。台湾や韓国、インドなど、アジア各国も二重国籍容認へと舵を切っています。

そして日本国籍で海外に永住している者の90%以上は、二重国籍容認国に滞在しているというデータもあり、日本国民にとっても二重国籍容認が緊急の課題であることは間違いありません。

 

二重国籍を何か特別な優遇措置(=特権)であるかのように考えている人はたまにいますが、それは間違いです。二重国籍を認めないというのは、例えば、国籍の違う親同士から生まれた子が、両親の故郷の地で、親と自由に暮らすことすらできないということです。二重国籍を認めないことで、家族結合権(親と一緒に暮らす権利)すら奪われている人たちがいることを忘れないようにしたいですね。

 

二重国籍に反対のみなさんへ

夫婦別姓にしても、同性婚にしても、二重国籍にしてもそうですが、残念ながらこれらについて、日本国内ではまだまだ根強い反対の声があります。しかしながら、これらにわざわざ反対する人にお聞きしたいのですが、それらが認められて、あなたの生活に何か不利益が生じますか?

確かに、伝統的な慣習を守る、変化を嫌う、というのも一つのライフスタイルであり、尊重されるべきでしょう。

しかし、夫婦別姓が容認されても、別にあなたが「夫婦は同じ苗字の方が素敵だ」と思うならそうすれば良いし、同性婚が容認されても、別にあなたが同じ性別の人と結婚しなければならないわけではないし、二重国籍が容認されても、別にあなたの権利が何か制限されることもなく、これまで通り、日本人として毎日を楽しむことができます!!!

そういうわけで、これらが実現しても、別にあなたの生活は何も変わらないわけだから、他人の選択肢が増えることに、わざわざ反対しなくても良いのではないでしょうか。おまけに、これらが容認されることで、何か特別に得をする(=特権を得る)人がいるということではなく、ただ単に、今まで必要以上に不利益をこうむっていた人が、人並みにハッピーになれるというだけのことなんです。

 

日本も二重国籍が早く認められるといいですね。さて、来年のバルセロナ市長選の行方は果たして…